2 認定司法書士の代理権の範囲を超えた場合

① 刑事罰が科せられる。

  弁護士法72条,77条 2年以下の懲役または300万円以下の罰金
 法律事務は弁護士が独占するが,別に法律で定める例外として,司法書士法があるという建て付けになっている。
 警視庁は,平成24年6月5日,司法書士が扱えない140万円超の和解交渉を行い報酬を得たなどとして,東京都内の司法書士を弁護士法違反(非弁活動)容疑で逮捕したと発表。

 

② 懲戒処分がなされる。

 その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に懲戒権あり(司法書士法47条)
 司法書士が本人訴訟支援の体裁を取りながら,書類の送達場所を司法書士事務所へ指定させた上で,裁判所へ同行し,傍聴席にいる司法書士の指示通りに受け答えするよう依頼者に指示するなどして,140万円を超える過払金を回収した事案について,司法書士の業務範囲を超えた行為であるなどとして懲戒処分がなされた(平成26年2月21日神戸地方法務局長)。

 

③ 訴訟が不適法却下とされる場合がある。

 富山地裁平成25年9月10日判決・判時2206号111頁
 司法書士が受任して作成した本人名義による訴状等によって提起された過払金返還請求訴訟について,弁護士法・民事訴訟法に違反し,不適法であるとして却下した。訴訟が却下されると,訴訟提起による時効中断がなくなるので,時効が問題になる事案では,依頼者が重大な不利益を被るおそれがある。

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