裁判の提起により回収額が増額した事案(後遺障害10級)
交差点で,赤信号を無視した加害者の車両が被害者の車両に衝突し,被害者が併合10級の後遺症が残る負傷をした事例
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① 保険会社は,被害者が弁護士に依頼する前は,(等級認定前であったことから,後遺症に基づく損害が含まれていませんが)約140万円という極めて低額の提示をしていました。
事故直前まで有職者であった被害者を家事従事者として収入を低額に計算したり,傷害慰謝料を裁判基準の3分の2程度しか認めなかったりして,賠償額を低額に抑えていました(なお,後遺症の認定がまだ出ていなかったのも,低額になった理由です。)。
② 弁護士が入り,後遺症10級部分と合わせて妥当と考えられる金額として,2300万円余りを請求したところ,保険会社は1500万円程度の提示をしました(後遺症を除くと約316万円)。
減額の理由として,「後遺症は今後改善するはずである」とか,「慰謝料は裁判基準の全額は認められない」等との主張をしました。
③ 交渉は決裂し裁判となりました。
裁判で保険会社側は、被害者の収入額や就労可能時期,後遺症の程度,素因減額等,極めて多数に渡る点を争ったほか,保険会社の顧問の医師の意見書を提出するなどして激しく争いました。
なお,顧問の医師の意見書が提出されるまで4か月程度の期間を要し,裁判が長引く大きな一因となりました。このような保険会社の訴訟対応は正当なものでしょうか。
④ 最終的に裁判所において,2000万円の支払で和解することができましたが,提訴から約2年の歳月を費やすこととなりました。
⑤ 保険会社が激しく争ってきた場合,裁判にすると非常に長い年月がかかり,被害者の精神的負担が嵩むことを改めて感じた事案でした。訴訟提起に踏み切る場合は,このような点の考慮も必要です。
訴訟前の保険会社の提示額は約1455万円ですが,和解額は2000万円でした(545万円のアップです)。
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