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大学生が,後遺障害1級3号の認定を受けた事例

大学生の先輩の運転する車に同乗中,30キロオーバーで進行中,駐車車両に気付き,急ブレーキを踏んだところ,滑走して近くにあった重機に衝突,その結果,同乗していた後輩の大学生が後遺障害1級に相当する脳挫傷等の傷害を負った事例

裁判提起後の和解事案です。

コメント

好意同乗者(事故を起こした時,お金をとらずに他人を自動車に乗せていた場合,その同乗者に損害を与えた時に,車の所有者や運転者がその同乗者の損害賠償額の一部を減額できるというもの)の事案ですが,裁判所の和解案では5パーセント減額のみでした。
 
この事件では,逸失利益の中間利息控除を3パーセントで請求しました。
これは,この事件当時,5パーセント控除にしたがわない下級審の裁判例が相次いでいたからです
(例えば,東京高裁平成12年3月22日判決・判時1712号142頁〔但し4パーセント〕,二木雄策「逸失利益算定の割引率-低金利をどう捉えるか」判タ1063号64頁以下等。
 
なお,二木雄策「交通死―命はあがなえるか」岩波新書は,被害者の視点から裁判所の交通事故の取り扱いに疑問を投げかけるものとして,新鮮な視点を提供しています。)
裁判所の和解案では認められませんでした。
 
現在では,最高裁判決で,5パーセントとされています(最高裁平成17年6月14日判決・判タ1185号109頁,平成18年版赤い本下巻227頁)。
 
保険会社からは,定期金賠償の主張がなされましたが,裁判所の和解案は排斥しました。
ちなみに,最高裁は,原告が訴訟上一時金による支払いを求めている場合には,定期金による賠償を命じることはできないとしています(最高裁昭和62年2月6日判決・判時1232号100頁)。
 
ご本人では裁判ができないので,成年後見の申立を行い,父親が成年後見人に選任されています。
訴訟前の保険会社の提示額は,1億2880万円ですが,和解額は2億円でした(7120万円のアップです)。
好意同乗の点については,20パーセント減額を主張していました(→解決時5パーセント減額)。

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