脳脊髄液減少症について

脳脊髄減少症とは、脳脊髄液が脳脊髄腔から漏出することで減少し、頭痛・めまい・耳鳴り・倦怠など様々な症状を呈する疾患のことをいいます。
テレビ番組などで有名になりましたが、脳脊髄液の量を臨床的に計測できる方法はありません。
 
画像診断で可能であるとされているのは、
低髄液圧症
 ・頭部MRI(硬膜肥厚)
 ・髄液厚測定
 
髄液漏出症
 ・脳槽シンチ
 ・MRミエロ
 ・CTミエロ
を診断できるのみです。

画像判定基準と解釈につき、厚生労働省が脳脊髄液漏出症の画像判定及び判断基準を2011年6月1日に公表しているのが参考になります。

「むち打ち症」に対するアプローチ

従来、「自律神経失調症」と把握されていた難治むち打ち症被害者の症例が低髄液圧症候群に代替できるか
低髄液圧症候群の主たる治療である「EBP・ブラッドパッチ」(硬膜外自家血注入法)によって、症状が完治し、被害者救済に資するのか
事故と損害発生との間の相当因果関係は認められるのか
といった点が問題とされています。

低髄液圧症候群について

髄液が持続的、断続的に漏出することによって髄液が減少し、頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠などの症状が発生するという医学的見解があり、むち打ち被害後の規律性頭痛、めまいなどを主訴とする自律神経失調症様の症状が長期間継続して、難治例となる被害者の救済の治療法の1つとして,注目されています。
 
ブラッドパッチとは、抗体反応のない自家血の凝固作用を利用して、自家血を脊髄くも膜外腔から注入し、その循環によって、髄液漏れの箇所の「破れ」を補修するという方法です。

低髄液圧症候群の後遺障害等級評価

低髄液圧症候群の診断がついたから、脳・脊髄に異常があるという理由で、9級以上の等級認定は可能かは疑問があります。
 
自賠責実務上は、低髄液圧症候群という診断のみで、客観的な就労制限を伴う中枢神経系の異常とは把握していないと思われます。
現実の認定実務は、軽微神経症上の存在があることを前提に14級どまりの認定(あるいは非該当)をしていると考えられます。

裁判例

裁判上は肯定例と否定例にわかれています。
最近の報道では、横浜地裁平成24年7月31日判決において、厚生労働省の新しい診断基準をもとに脳脊髄液減少症の疑いが相当程度あるとして約2300万円の支払を認める判断をしたことが報道されていました(平成24年8月28日付朝日新聞・同日付日本経済新聞)。

むち打ち症に対する新しい救済方法として注目されますので、この点も含めてご相談下さい。


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